都市が縮退する過程において、今後どのような新しい都市機能が求められるかを検討した。具体的な対象は、社会的企業地区として認定されている英国バーミンガムのディグベス地区である。社会的企業集積によるまちづくりの意義としては、次のとおりである。1)都市の空き資源の再生利用、2)荒廃した都市環境の改善、3)まちなかの集う空間・つながる空間の形成、4)社会的包摂環境の実現、5)多様な重層的なコミュニティの形成、6)社会的課題の共有、7) ソーシャル・イノベーション・クラスターの形成、8) ソーシャル・ビジネスの拡大をとおした社会的経済循環、9) 新しい地域産業の基盤形成への相乗効果。そこに見られる新しい都市像を、環境・社会・経済の側面から整理すると、「空き資源を再生させながら新しい機能を埋め込む街」、「人びとが支え合い多様な生き方を実現する街」、「新しい価値観を創出し共有する街」として提示できる。