本研究は,原発事故からの復興期に着目して,避難や帰還,移住などが進む中での人口変化の実態を明らかにすることを目的とする。事故発生後の全町避難から先行して避難指示が解除されて復旧・復興事業が進む広野町と楢葉町を対象として,人口構造や小地域に着目してデータベースを構築して事故発生前からの変化を分析した。その結果,事故発生前の総人口に回復しつつあるものの,性別や年齢5歳階級別にみると特徴があり,また就業者の産業構造も事故発生前と異なり,さらに小地域でみると既成市街地よりも農村集落や森林部として位置づけられる新たな地域で人口が増加していることがわかった。原発事故からの復興過程においては都市計画上のさまざまな課題があり,個別課題を解決するために事業ごとの関係性を構築した都市計画の実行が求められる。