2023 年 22 巻 3 号 p. 406-412
こども家庭庁設置法とこども基本法をめぐる政策過程について,唱導連合フレームワークを用いて分析した.旧民主党時代には,幼保一元化政策として新省創設が議論され見送られた.このたび政策課題として設定されたのは,いわゆる族議員から距離のある若手議員らの働きかけによるものだった.専門家らとともに政策志向学習が進められ,政府の基本方針の大枠が固められた.与野党双方に存在する唱導連合で,組織体制と基本理念の2本立てによる法改正への調整が進められた.そして,子ども政策を充実させるための新たな組織体制の必要性という信条のもと,こども家庭庁設置法が閣法として,こども基本法が議員立法として,それぞれ成立した.