本稿の目的は、社会の価値観の変化に対応した新しい価値をまちづくりに見出すことである。(シリーズ第3稿)本研究では、岩手県住田町において、仮設住宅の受け入れ地域と連携した復興まちづくりの実践者へのインタビュー調査を行い、新たな価値の抽出と言語化を試みた結果、6つのまちづくりの新たな価値が同定された。住田町の仮設住宅では、流域や文化を共有する同郷意識や、仮設住宅の立地、規模、デザインが影響し、受け入れ地域と被災者の間に信頼関係が構築され、その上で、ボランティアや定常的な支援団体(邑サポート)の活動が行われた。困難な状況を抱える人々を共に支援することで、地域を豊かにする住田町の事例は、持続可能な地域のまちづくりと、グローバルな世界の課題解決の可能性を示している。