2024 年 22 巻 4 号 p. 586-591
グローバルなESGへの取り組みが活発化している。その結果を非財務情報として開示する手法として、第三者認証制度が利用されている。第三者認証に関する研究は多いが、その認証結果に関する研究はない。そこで、日本における企業緑地の創出・維持を評価するSEGESとABINCの2つの認証制度を選定し、認証取得事例を調査した。認証取得件数は年々増加している。パフォーマンスを俯瞰するため、土地や建物を所有(タイプⅠ、Ⅱ)するか、売却(タイプⅢ)するかで分類した。所有する場合は、自社事業用(タイプI)か賃貸事業用(タイプII)かに分類した。その結果、所有タイプIとIIでは、緑地の総合的な価値を評価するSEGESが好まれることがわかった。また、2つの制度の認証更新率は、タイプIIIでは低かった。TNFDの公表により、非財務情報開示の動きはさらに強まることが予想されるが、第三者認証制度がこの流れに対応し続けられるかどうかは、認証取得を目指す企業の意識調査によって見極める必要がある。