2024 年 23 巻 1 号 p. 19-
子ども・子育て支援新制度の施行以降、地域子育て支援拠点事業の民間委託と担い手の多様化がすすんでいる。この文脈において本稿は、市の子育て支援施策のひとつである地域子育て支援拠点が、子育ての支援者的当事者たちへ運営委託されるに至った1事例に着目した。当事者たちによる実践の様相を参与観察およびヒアリングを通して収集した記述的研究である。さらに組織マネジメントの視点を用いた分析で構造化を図り、主体形成と創造性について考察し、今後の子育て支援のひとつの在り方として提示した。結果、思いを行動に移す際に「専門職や行政等からの程よい距離感」の働きかけがあったこと、「母親像に押し込められず」自分たちのやりたいことが許される環境であったことの2点が示された。