2024 年 23 巻 2 号 p. 136-
本研究は、横浜市鶴見区の国道沿いの土地所有者や事業者が、認証を取得することなく行政の緑化条例を上回る緑地の整備と維持管理に自律的に取り組む事例を対象として、その動機などをアンケート調査によって明らかにし、自律的な取り組みを広く展開するための施策について考察したものである。会員へのアンケート調査の結果、取り組みの動機は地域や顧客からの評価を得ることが、売り上げの向上を上回っていた。また個別の助成ではなく、活動そのものへの支援を求める声の方が大きかった。第三者からの評価については、評価を求めるのに加えて、地域や顧客に評価してもらいたいという希望があることが明らかになった。本研究により、条例による緑の量の確保に加えて緑の質を高めるためには、地域の将来像を共有して多数の主体が取り組みを行う仕組みづくり,そしてその活動を維持育成していく支援が重要であることが明らかになった。また認証制度も地域で活動する団体を対象とした制度設計を工夫していく必要があること、が明らかになった。