2024 年 23 巻 2 号 p. 270-
本研究は,雑賀崎地区における人口や住居にまつわる動向,居住者の入れ替わりの状況から,多様な住まい方の特徴を明らかにすることを目的とした。調査から以下のことが明らかになった。1) 人口・世帯数の減少に伴い,集落内部に空間の余剰ができていっている。2) 空き家の土地所有者は雑賀崎地区内に住んでいる場合が多く,今後,雑賀崎地区住民が地区内に複数の空き家を含めた住居を所有する事例が増えていくと考えられる。3) 世帯数が減少しながらも,居住者の入れ替わりが一定程度あり,また,頻繁に居住者が入れ替わっている宅地が珍しくないことがわかった。家族間あるいは雑賀崎地区住民間での入れ替わりが多いと考えられる。4) 住居の余剰ができている状況で,個々の必要性により一居住者が複数の住居を利活用したり,地区内を転居したりしている可能性がある。