2024 年 23 巻 3 号 p. 339-
本研究では,各都道府県発行の教員向け防災教育の手引き及び被災地の児童・生徒向けの防災教育副読本を対象に,学校防災教育における被災体験談の活用実態を明らかにすることを目的とした.その結果,教員向け防災教育の手引きでは被災体験談の記載がある都道府県が11自治体みられ,児童・生徒向け防災教育副読本では兵庫県,岩手県,宮城県は地震発生から避難所生活,復旧までの一連の流れを網羅的に共有しつつ,教訓を風化させないよう体験談そのものの重要性を啓発していた.熊本県は自助や共助,復興支援など被災後のふるまい方の学習が重要視されていることに加え,被災を通じて自らの進路や地域学習など新たな学びに繋がる傾向を捉えた.