都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
ニューヨーク市における固定資産税等の先取特権の証券化
平 修久西浦 定継吉川 富夫
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2024 年 23 巻 3 号 p. 332-

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抄録

ニューヨーク市の税担保証券化は、滞納税の徴収費を削減し、利息と罰金により滞納税額以上の収入をもたらすことで経済的に成功している。投資家にとっては超先取特権のため、低リスク・高リターンの投資であった。成功の主要因は不良不動産の排除、活発な債券・不動産市場の存在である。しかし、所有者の多額の償還費や住宅喪失などの証券化のマイナス面は、住宅ローンや課税で歴史的に差別されてきた黒人居住地域に集中していた。そして、証券化の再認可は2022年に停止された。証券化は住宅をどう見るかという基本的な問題、納税意識をどう高めるか、税徴収の厳格さと支払不能者の救済とのバランス、税徴収権の公売の妥当性など、多くの問題を提起している。

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© 日本都市計画学会
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