2025 年 23 巻 4 号 p. 487-
本研究は、民間企業による空き家などの活用を伴うまちづくりが積極的に行なわれている大田市温泉津伝統的建造物群保存地区に着目し、民間企業による空き家の宿泊施設や飲食店への転用が周辺地域に与える波及効果を明らかにした。調査の結果、温泉津においては、民間企業の取り組みを契機に「分散型ホテル」のような宿泊形態が形成されつつあり、地域資源を活用した観光スタイルの多様化が進行していた。また、民間企業による外来者への支援や地域住民の理解を経て、まちづくりに携わる人々の関係が構築され、ますます地域活性化が見込まれる地域であった。これらの実態と温泉津の地域性を考慮し、今後は民間企業、地元住民、移住者、行政などの関係者間で共通の長期的な方針を策定することが重要であると提言した。