本研究は、伝統的住宅の意匠の一つである「格子」が現在どのように建物ファサードの中で使用されているのかを明らかにすることを目的とする。対象地は京都市の歴史的保存エリアであり、商業地区である「田の字地区」北東エリアとした。現在、京都市では法律や条例による格子の設置義務はない。調査結果から、エリア内の建物数に対する格子の設置率は32.2%であり、その中でも伝統的住宅の意匠と同じ使われ方をしているものが42.3%であることが明らかとなった。一方で、格子の意匠が多様化していることも確認された。また、店舗経営者へのアンケート調査では、約6割が「京都らしい町並みに格子が重要」と回答し、自主的に格子を設置していた。