2025 年 23 巻 4 号 p. 503-
本研究では、長崎県の市町に導入されているコミュニティ交通を対象に、住民参加の実施の有無、住民参加がもたらす効果や課題等の住民参加の実態を明らかにすることを目的としている。研究の方法として、長崎県の市町のコミュニティ交通の導入状況や住民参加の全体的な傾向を把握したうえで、特徴的な住民参加を行っていた市町を取りあげケーススタディを行った。結果として、長崎県の市町では、需要に応じた取り組みや意識啓発の取り組みを行っている市町が多いこと、住民主体による運行・運営の検討や住民負担の取り組みを行っている市町は少数であることが分かった。また、ケーススタディから、法定の組織が大きな役割を果たしていること、既存の公共交通との共存に関わる部分については住民の意見の反映に限界があることなどが明らかとなった。