2025 年 23 巻 4 号 p. 603-
日本の地方では人口減少が進み、地域経済や社会機能の維持が困難になりつつある。本研究は、地方創生の担い手として食企業に着目し、その役割を考察する。食企業は地域資源を活用し、商品開発やブランド化を通じて地域経済の活性化に貢献するだけでなく、関係人口を巻き込んだ地域づくりのファシリテーターとしての機能も果たしている。本研究では、内閣府の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」と「中間支援組織の提案型モデル事業」に採択された9事例を分析した。その結果、食企業は、事業利益や内部資金、補助金・寄付などの資金を活用しながら、地域課題解決と経営の持続可能性を両立させていることが明らかになった。本研究は、食企業が地域社会と協働し、持続可能な地域づくりを推進する可能性を示唆するものであり、今後は地域特性や業態の違いを踏まえた比較研究が求められる。