2011 年 2 巻 1 号 p. 127-130
MRSA感染における重症患者では,急性腎障害を発症し持続血液濾過透析(CHDF)を導入されることが少なくない。CHDF施行中に抗MRSA薬を投与する場合,グリコペプチド系薬やアミノグリコシド系薬はTDMを行いながら投与量を調節しなければならないが,オキサゾリジノン系薬のリネゾリド(LZD,ザイボックス)は投与量を調節する必要はないとされている。現在,当院でCHDF施行中でのLZDの血中濃度を調査中であり,半減期が極端に延長した3症例を経験したので今回報告する。3症例のLZDの半減期は13.0時間,11.0時間,11.0時間と延長し,クリアランスも4.2L/h,3.6L/h,4.5L/hと低下していた。また,これらの症例では血小板数の減少傾向も認めた。CHDFを施行している患者ではLZDの血中濃度が予想以上に上昇している可能性もあり,副作用に十分注意する必要がある。