本研究は、琵琶湖における漁獲データの歴史的変遷を整理し、水産資源管理と文化的景観保全を統合する新たな枠組みを提案した。1960年以降、統計集計方法が港や地域レベルから琵琶湖全体の集計値へと変化したことで、地域固有の漁業活動や環境変化の把握が困難になった経緯を明らかにした。また、漁獲高データを単なる資源管理の指標ではなく、文化的景観の変容を示す指標として再評価する視点を提示した。これらの知見に基づき、市民科学手法による詳細なデータ収集、定量データと定性的価値評価の統合、多様なステークホルダーとの協働による政策形成を含む、新たな証拠に基づく政策フレームワークを提案した。