本稿は,農村地域における樹林や水田等の景観構成要素に着目し,その立地や分布の変化を,地形因子や土地利用間の隣接性の観点から検討した.対象地は兵庫県の淡路島中部とし,明治中期(1896)と昭和後期(1976)の2時期の比較をおこなった.100mメッシュを単位として土地利用凡例の変化と地形因子(標高,傾斜角度,斜面方位,湿潤度)との関係を検討した結果,主な土地利用変化には,集水域面積と傾斜角度から算出される湿潤度が強く関係している傾向が確認された.土地利用項目間の境界線を抽出し,対象地域において卓越している樹林と水田との境界線を2時期で比較した結果,昭和期において総延長は約85%に減少したが,境界線数は約2倍に増加し,細分化傾向が確認された.