2004年に発生したスマトラ沖地震・インド洋大津波は,インドネシア,アチェ州に甚大な被害をもたらした.スマトラ島北部西海岸では,集落が全壊となるような被害も多く,コミュニティが壊滅状態になり,依然として多くの人が仮設住宅等で生活をしている.災害からの復興にかかる研究では,災害からの復興過程を様々な角度から分析し理解することが重要である.筆者は,バンダアチェおよびムラボーにおいて,被災状況,復興状況,被災者のニーズ変化,被災者の生活環境やコミュニティ再生等の視点から災害直後から継続的に調査を行っている.本報告は,上記の一連の調査のうち,復興に影響を与える要因として考えられる,被災者の居住形態の変遷とコミュニティの再生プロセスに着目した調査結果を報告するものである.