リハビリテーション・エンジニアリング
Online ISSN : 2433-748X
Print ISSN : 1342-3444
研究論文
障害者支援施設における車いす使用入所者の座位保持困難事象の現状と課題
雑賀 昭登出口 弦舞
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2023 年 38 巻 2 号 p. 105-113

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抄録

 障害者支援施設入所の車いす利用者は、機能低下や故障等で座位保持困難事象が発生した際、補装具費支給制度を利用し新たに車いす・座位保持用品を購入・修理申請するが、それらが届く間は身体に適合した車いすがない状況が起こり得る。この問題について「全国身体障害者施設協議会」所属の全503施設に調査したところ、座位保持困難事象は66.0%の施設で発生していた。また施設所有の車いす・座位保持用品が不十分と感じるほど困り感は強く、さらに車いす座位保持調整に対する人材や研修の不足が明らかとなった。ここから施設での代替え車いすの配置、リース導入、座位保持調整の研修の必要が考えられた。また「借受制度」での車いす・座位保持用品までの範囲拡大と施設基準に代替え車いす・座位保持用品の配置を加える必要も考えられた。

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© 2023 一般社団法人 日本リハビリテーション工学協会
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