リハビリテーション・エンジニアリング
Online ISSN : 2433-748X
Print ISSN : 1342-3444
38 巻, 2 号
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特集
研究論文
  • 川村 直子, 北村 達也
    2023 年 38 巻 2 号 p. 95-104
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

     音声障害のリハビリテーションでは、言語聴覚士に指導された発声を患者が自宅でも適切かつ継続的に反復することが求められる。しかしながら、患者の自主的な発声訓練の継続を支援するシステムは構築されていない。そこで本研究では、先行研究で開発した発声訓練支援システムをIoTクラウドシステム化した。このシステムは音声障害領域で有効性が認められているチューブ発声の発声中の口唇部振動の変化を視覚的にフィードバックし、さらにクラウドサービス、LINEを連携させて自主訓練結果やリマインダーの通知を自動で行う。効果検証の結果、提案システムの視覚的フィードバックやLINEによる声かけ機能は自主訓練の適切性や継続性に有効であった。

  • 雑賀 昭登, 出口 弦舞
    2023 年 38 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

     障害者支援施設入所の車いす利用者は、機能低下や故障等で座位保持困難事象が発生した際、補装具費支給制度を利用し新たに車いす・座位保持用品を購入・修理申請するが、それらが届く間は身体に適合した車いすがない状況が起こり得る。この問題について「全国身体障害者施設協議会」所属の全503施設に調査したところ、座位保持困難事象は66.0%の施設で発生していた。また施設所有の車いす・座位保持用品が不十分と感じるほど困り感は強く、さらに車いす座位保持調整に対する人材や研修の不足が明らかとなった。ここから施設での代替え車いすの配置、リース導入、座位保持調整の研修の必要が考えられた。また「借受制度」での車いす・座位保持用品までの範囲拡大と施設基準に代替え車いす・座位保持用品の配置を加える必要も考えられた。

研究報告
  • 津田 貴大, 齋藤 幸江, 新谷 純, 小越 咲子, 小林 康孝, 小越 康宏
    2023 年 38 巻 2 号 p. 114-124
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

     半側空間無視は日常生活動作に支障をきたすばかりではなく、リハビリテーションの阻害因子にもなり得る。半側空間無視の検査方法としてBIT検査が一般的であるが、半側空間無視と診断されない患者においても、日常生活動作中に無視症状が見受けられる場合がある。その理由として、通常検査が全て紙面上で行われるため、遠位空間の無視を検出出来ない可能性が挙げられる。半側空間無視の検出には、それぞれの症状に合った複数の評価を行う必要性があると考えられる。我々は視線計測可能なHMDを用いて近位空間と遠位空間の半側空間無視症状を客観的に評価できるツールを開発し、健常大学生7名と左半側空間無視患者2名(P1、P2)を対象として評価実験を行い、反応時間、発見率を評価することで近位空間、遠位空間における無視症状の客観的把握と軽微な症状を検出できる可能性が示唆された。また、視線検出により探索の仕方が把握できるため、リハビリテーションの指針を示す指標になると考えられる。

技術・開発報告
  • 白銀 暁, 中村 美緒
    2023 年 38 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

     支援機器開発において当事者を対象に行う初期段階の評価は、モニター評価とも呼称される。その効果的な実践は、機器の特性上、生活場面での使用を想定する必要があることなどから非常に複雑で難しい。これに対し我々は、我が国での更なる開発研究促進を目指し、モニター評価手法と、実践者の人材育成プログラム開発に取り組む。今回、その参考資料を得るため、先行する海外事例を調査した。Patient@HomeとSilver Projectを対象にインターネットで情報収集を行い、評価手法として“Model for Assessment of Tele medicine”と“Assistive Technology Assessment Tool”を抽出した。それらは開発技術の社会実装に際しての現場での許容度や、供給事業者を含めた経済活動への影響等の多様な視点を含み、エビデンス構築に向けた客観的なデータよりも開発目的に合わせた多面的で集学的な評価を重視した。モニター評価でも同視点が重要であり、これらは有用な参考情報となり得る。

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