半側空間無視は日常生活動作に支障をきたすばかりではなく、リハビリテーションの阻害因子にもなり得る。半側空間無視の検査方法としてBIT検査が一般的であるが、半側空間無視と診断されない患者においても、日常生活動作中に無視症状が見受けられる場合がある。その理由として、通常検査が全て紙面上で行われるため、遠位空間の無視を検出出来ない可能性が挙げられる。半側空間無視の検出には、それぞれの症状に合った複数の評価を行う必要性があると考えられる。我々は視線計測可能なHMDを用いて近位空間と遠位空間の半側空間無視症状を客観的に評価できるツールを開発し、健常大学生7名と左半側空間無視患者2名(P1、P2)を対象として評価実験を行い、反応時間、発見率を評価することで近位空間、遠位空間における無視症状の客観的把握と軽微な症状を検出できる可能性が示唆された。また、視線検出により探索の仕方が把握できるため、リハビリテーションの指針を示す指標になると考えられる。