1990 年 17 巻 1 号 p. 3-10
膝周囲筋の遠心性および求心性収縮における筋出力特性について,表面筋電波形の周波数分析を用いて検討した。男性2名,女性3名を対象とし,左膝の屈曲,伸展(0〜90°)時の大腿直筋,内側広筋,外側広筋,内側ハム,外側ハム,腓腹筋の筋活動を記録,パワースペクトルとその平均周波数(MPF)を算出した。結果は以下の通りである。
(1) 膝伸筋群のMPFは膝角度が増加するに従い徐々に減少したが(P < 0.01),屈筋群は異なった結果を示した。特にハムストリングスの遠心性収縮では膝角度には無関係に高値となった。
(2) 一関節筋と二関節筋との比較では,前者は筋の収縮形態には影響されないのに対し,後者では全ての筋で影響され(P < 0.01),個々の筋固有の反応あるいは対応をおこなっていると考えられた。