1990 年 17 巻 1 号 p. 11-16
脊髄損傷者の体力評価の手段として,車椅子トレッドミルを使用したスピード負荷法と角度負荷法を考案し,脊髄損傷者15名健常者9名に対して施行し,各負荷法の有用性及び両負荷法の比較検討をし,併せて脊髄損傷者の体力評価パフォーマンスとの関係についても検討した。
その結果,1)両負荷法ともに心拍数と酸素摂取量との間には有意な相関を示し(P < 0.01)十分妥当性のある負荷法であった。2)all out時のデータより両負荷法を比較すると,健常者群にのみスピード負荷法で有意に低値を示した。3)両負荷法を通じてVO2maxは下位脊損群及び健常者群では28.9〜32.4ml/kg/min,上位脊損群では25.5〜25.6ml/kg/minであった。4)フィールドでのパフォーマンステストとの関係では,下位脊損群にのみ両負荷法で得られたVO2maxと,車椅子5分間走及び60m走との間にP < 0.05で有意な相関を認めた。