理学療法学
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症例研究
理学療法における患者-治療者関係についての一考察
渡辺 和子神内 拡行鈴木 淳竹内 佳美石田 暉渡辺 俊之
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1991 年 18 巻 1 号 p. 55-59

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抄録
心理社会的問題を抱えた一症例を通して,治療構造論的観点から患者-治療者関係を捉えながら,理学療法アプローチを検討し考察を加えた。
外来訓練開始当初,症例は障害否認・自己否認していた。それに対しPTは,障害受容を強制するような教師的立場で接していた。このため,理学療法場面での双方の訓練意義が噛み合わず,ダブルバインド状況が一過性に存在していた。
そこで,PTは治療構造を認識し,患者を主体とした治療契約の確立と役割の調整を行なった。その結果,有効な治療関係が成立し,症例の主体的な運動学習やゴール設定・達成につながった。
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© 1991 公益社団法人 日本理学療法士協会
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