理学療法学
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漸増抵抗運動が立位重心動揺に及ぼす影響
新井 光男猪野 訓子田中 良美山河 剛
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1992 年 19 巻 1 号 p. 7-11

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抄録
正常人に漸増抵抗運動を行わせ,運動が静的バランス機能にどの様な影響をもたらすかを,運動前後に重心動揺を測定し分析した。対象は,19歳から65歳(26.5 ± 7)の男子15名,女子35名計50名の健常者であった。その結果,運動後は比較的高い周波数帯域(2-5 Hz)において,左右の動揺パワースペクトラムと前後の動揺速度パワースペクトラムに相関が有意に高くなった。また,僅かではあるが右への変位が有意に認められた(固有受容器系の促通)。また,運動後,0.1 Hz以下の低周波数帯域において,前後の動揺パワースペクトラムと動揺速度パワースペクトラムの相関が高くなったことにより,前後に非周期的に揺れながらバランスを保持する能力が高まったことが推測される(前庭系の促通)。
以上により,自転車エルゴメーターによる漸増負荷訓練は,固有受容器系の促通のみでなく,前庭系の促通が起こり,静的バランス機能に影響を及ぼすことが示唆された。
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© 1992 公益社団法人 日本理学療法士協会
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