理学療法学
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第2分科会
新生児集中治療室 (NICU) における理学療法の介入について
―過去7年間の変化―
宮石 香
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1993 年 20 巻 3 号 p. 169-171

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抄録
新生児医療の進歩にともない死亡率が減少し, 低出生体重児が増加しているにもかかわらず脳性麻痺の発生率は減少(10%以下,5%前後の報告が多い)しているといわれている。そして, これらの児に対して早期療育を行うことによって, より良好な発達を促すことができるとされ, 今日では,Neonatal intensive care unit(以下NICUと略す)においても呼吸器理学療法と発達療法を中心とした理学療法が行われるようになってきた。前者は1969年にHollowayらによってはじめて報告されて以来, BertoneやCraneによって体系づけられ, 後者は1984年にAndersonらによって報告された。わが国においても, 1986年より江連らや宮腰らがそれぞれについて報告して以来, 全国のNICUをもつ施設において理学療法が行われてきている。今回報告する愛知県心身障害者コロニー中央病院(以下コロニーと略す)の1病棟であるNICUでは, リスク児が院外より搬送され, 常時40名の新生児ケアが行われている。理学療法は1985年頃より行われていたが, 入院業務の一環として行われており,入院児のFollow-upは十分に行われていなかった。しかし, 「トータル・ケアを行いたい」という新生児科部長の要請がきっかけで, 1990年より総合回診に参加するなど積極的に理学療法士が活動を行うようになり, 現在では「NICUにおける理学療法」の必要性や重要性が NICUスタッフ間で認められるようになってきている。今回, 理学療法を行うにあたり遭遇した様々な問題点, 理学療法が介入したことによる影響および今後の課題について検討したので報告する。
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© 1993 公益社団法人 日本理学療法士協会
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