抄録
一側下肢の筋収縮が対側の運動ニューロンの興奮性にどのような影響を与えるのかを観察する目的で,誘発筋電図H波の振幅比較による検索を行った。
健常な男性被験者7名に右下肢の等尺性収縮(股・膝・足関節,屈曲・伸展,各3収縮力,計18種類)を行わせ,左ヒラメ筋からH波を導出し,安静時のH波振幅(peak to peak)を比較した。
その結果,対側足底屈筋の収縮等においてH波振幅の増大が認められた。これらのことから,一側下肢筋の等尺性収縮は交叉性反射による影響は与えず,脊髄同節レベルの対側同名筋の運動ニューロンの興奮性を高めたと解釈できた。