抄録
失認評価検査で検出されない脳卒中左片麻痺患者において,日常生活の中,明らかな失認を疑わせる症状を呈する者がいる。今回,動的な要素が入った検査として,テレビゲームを施行することで,これら失認評価検査で検出されなかった者に失認と思える症状を確認することが出来たので報告する。ゲームソフトの特徴により画面全体の把握と反射的動きが必要とされるが,その結果として,正常群と右片麻痺群とでは同様の動き反応を呈しており,左片麻痺群においては左側を無視した失認様の症状を呈していた。以上のことより失認検査では静的な検査に留まらず動的面を兼ね備えたものが必要であり,かつ動的スピードを加味した訓練の重要性を示唆している。