抄録
脳卒中片麻痺患者39名を対象に歩行速度および歩行自立度に関与する因子を知る目的で,上田による12段階片麻痺回復グレード法(以下グレード),患側下肢荷重率,患側下肢筋力,深部感覚障害,身長,体重,罹病日数,年齢を選びその関連性を検討した。その結果,歩行速度・歩行自立度に対して高い相関を示したのはグレード,患側下肢荷重率,患側下肢筋力であった。また,三変数間の相関も高かった。さらに歩行能力の二つの指標を目的変数としたステップワイズ重回帰分析の結果では,歩行速度の第一要因は患側下肢荷重率であるのに対し,歩行自立度の第一要因はグレードとなっていた。
以上の結果から片麻痺の歩行予後予測には運動機能評価における定性的評価に加えて,定量的評価が重要であることが示唆された。