抄録
本研究の目的は,体重支持力の指標としてopen kinetic chainでの膝伸展筋力を用いることが妥当であるか否かを検討することである。その先行研究としてまず,健常女性26名(測定脚52脚)を対象に60,180,300 deg/secの3種の角速度で,等速性片側脚伸展筋力を連続する2日間に2回測定し,測定の再現性を検討した。続いて同一機器,同一3種の角速度で等速性膝関節伸展筋力を測定し,脚伸展筋力と膝関節伸展筋力との関係をみた。等速性片側脚伸展筋力の2回の測定値は,ピークトルク,ピークトルク/体重,max repetition workの全てのパラメータ・角速度で級内相関係数(ICC)が0.6を超える比較的高い相関が得られ再現性が確認された。次に,ピークトルクで示した脚伸展筋力と膝伸展筋力との相関は中等度以下であり,高速度である方がより相関が高かった。これらは,膝伸展筋力の脚伸展筋力への寄与度に角速度によって差があり,また脚伸展筋力には膝伸展筋力以外の関与が示唆される結果であった。以上より,体重支持指標として膝伸展筋力のみを用いる方法では,角速度や他筋の関与を考慮する必要があると考えられた。