理学療法学
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原著
持続的伸張運動の実施時間の違いが関節拘縮の進行抑制効果におよぼす影響
―マウスにおける実験的研究―
中田 彩沖田 実中居 和代中野 治郎田崎 洋光大久 保篤史友利 幸之介吉村 俊朗
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2002 年 29 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

本研究では,臥床によって起こる拘縮を動物実験でシミュレーションし,その進行過程で持続的伸張運動を行い,拘縮の予防に効果的な実施時間を検討した。8週齢のIcR系雄マウス34匹を対照群7匹と実験群27匹に振り分け,実験群は後肢懸垂法に加え,両側足関節を最大底屈位で固定し,2週間飼育した。そして,実験群の内6匹は固定のみとし,21匹は週5回の頻度で足関節屈筋群に持続的伸張運動を実施した。なお,実施時間は10分(n = 8),20分(n = 7),30分(n = 6)とした。結果,持続的伸張運動による拘縮の進行抑制効果は実施時間10分では認められないものの,20分,30分では認められ,実施時間が長いほど効果的であった。しかし,30分間の持続的伸張運動でも拘縮の発生を完全に予防することはできず,今後は実施時間を延長することや他の手段の影響を検討する必要がある。

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© 2002 公益社団法人 日本理学療法士協会
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