理学療法学
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報告
大腿四頭筋の筋持久力に関する筋電図学的考察
―open kinetic chainとclosed kinetic chainの比較―
由利 真
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2002 年 29 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

開放運動連鎖と閉鎖運動連鎖の運動肢位による筋持久力について比較した筋電図学的報告はない。そこで本報告は,開放運動連鎖での等尺性収縮と閉鎖運動連鎖での静的な姿勢保持において,運動肢位が大腿四頭筋の筋電図学的応答に及ぼす影響について検討することである。対象は健常成人男性10名で,導出筋は,内側広筋,大腿直筋,外側広筋とした。課題は等尺性収縮での膝関節伸展と静的な片脚立位をそれぞれ2分間保持させ,同時に筋電図を記録し,平均筋電位と中間パワー周波数を求めた。その結果,各課題開始初期の大腿四頭筋の筋活動は同程度であった。また,平均筋電位は片脚立位では有意な増加を示さなかったが,膝関節伸展の課題終期には各筋に有意な増加を認めた。中間パワー周波数は,膝関節伸展の各筋と片脚立位の大腿直筋に有意な減少を示す結果が得られた。これらの結果から,開放運動連鎖と閉鎖運動連鎖では大腿四頭筋の筋疲労様式が異なることを示唆した。

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© 2002 公益社団法人 日本理学療法士協会
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