理学療法学
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報告
T字杖への荷重量の変化が片脚立位時の安定性と下肢筋活動に与える影響
建内 宏重市橋 則明大畑 光司楞田 眞弘大野 博司八幡 元清秋本 喜英山口 淳
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キーワード: T字杖, 重心動揺, 筋活動
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2002 年 29 巻 6 号 p. 225-229

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抄録

本研究の目的は,T字杖への荷重量と片脚立位時の安定性,および下肢筋活動との関係を明確にすることである。対象は健常成人10名とした。測定条件は、杖なし片脚立位(W_0)と杖への荷重量を100g未満(W_S),体重の10%(W_10),20%(W_20)とした場合の4項目とし,重心動揺(左右方向軌跡長,前後方向軌跡長,実効値面積)と筋活動(中殿筋、長腓骨筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭)の測定を同時におこなった。その結果,左右方向軌跡長はW_S,W_10とW_20においてW_0より有意に減少した。前後方向軌跡長はW_S,W_10においてW_0より有意に減少し、W_20においてW_S,W_10より有意に増加した。中殿筋筋活動は杖への荷重量の増加にともない減少したが、W_0とW_Sとの間では変化を示さなかった。長腓骨筋筋活動はW_S,W_10とW_20においてW_0より有意に減少した。これらの結果から、T字杖への荷重はわずかでもバランスの改善には有効であることや,強く荷重すると中殿筋の補助として効果的であることなどが示唆された。

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© 2002 公益社団法人 日本理学療法士協会
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