理学療法学
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痴呆高齢者の転倒予測を目的とした行動分析の有用性
島田 裕之太田 雅人矢部 規行大淵 修一古名 丈人小島 基永鈴木 隆雄
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キーワード: 転倒予測, 高齢者, 痴呆
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2004 年 31 巻 2 号 p. 124-129

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抄録
施設に入所する痴呆高齢者の転倒予防のために有益な評価方法を検討した。評価方法は身体機能検査としてPerformance-Oriented Mobility Assessment,知的機能検査はMini-Mental State Examination,GBS scale,行動評価として転倒関連行動測定表を用い,これら3側面から痴呆高齢者を評価した。過去6か月間の転倒状況から対象者を転倒群と非転倒群とに分類して検査項目を比較した結果,転倒関連行動測定表においてのみ群間に有意差が認められた。また,ロジスティック回帰分析でも転倒関連行動測定表のみが痴呆高齢者の転倒と有意に関連し,危険行動が1つ増すごとに転倒の危険性が2倍に高まることが示された。以上の結果から,痴呆高齢者の転倒予測のためには身体機能や知的機能検査のみではなく,行動を分析する必要性があり,危険行動の抽出によって転倒予防のための有効な対策を講じることのできる可能性が示唆された。
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© 2004 公益社団法人 日本理学療法士協会
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