理学療法学
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原著
温熱負荷によるラット骨格筋の廃用性筋萎縮の進行抑制効果について
片岡 英樹沖田 実中居 和代豊田 紀香吉川 紗智渡部 由香中野 治郎
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2004 年 31 巻 6 号 p. 331-336

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抄録
本研究では,温熱負荷によるラットヒラメ筋,長趾伸筋の廃用性筋萎縮の進行抑制効果を検討した。7週齢のWistar系雄ラット21匹を対照群5匹と実験群16匹に分け,実験群の内5匹は温熱負荷のみとし(Heat詳),残りの11匹は1週間の後肢懸垂(HS)によって筋萎縮を惹起させ,HSのみの群(HS群)5匹とHSの過程で温熱を負荷する群(HS&Heat群)6匹に分けた。温熱負荷は麻酔下で毎日60分間(1週間),約42℃の温水に後肢を浸漬する方法で行った。HS&Heat群は両筋とも筋湿重量,相対重量比,タイプI,IIA線維の筋線維直径,ならびにHeat shock protein 70(Hsp70)含有量がHS群より有意に高値で,長趾伸筋のタイプIIB線維の筋線維直径はHS群との間に有意差を認めなかった。したがって,温熱負荷はタイプI,IIA線維の筋線維萎縮の進行抑制に効果があり,これはHsp70の発現が影響していると考えられる。
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© 2004 公益社団法人 日本理学療法士協会
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