2004 年 31 巻 8 号 p. 464-467
筆者は,医学部卒業とともにリハビリテーション医療の道を選び,東北大学鳴子分院で中村隆一先生のご指導のもと,5年間研修を受けた。その後,公衆衛生学という予防を主とする研究分野に移ったが,そのモチーフとするところはリハビリテーションにおける「障害」の概念と,公衆衛生における「予防」そして「健康」の概念と,両者のクロスオーバーを行うということに尽きるものであった。保健医療の中の新しい健康観を探るということが,半田学会長から筆者に与えられた課題である。しかし,もとより筆者にはそれに応えるほどの学識も経験も不足している。本稿では,これまで筆者が実施してきた疫学研究-健康寿命そして高齢者に対する介護予防の取組み-を振り返りながら,筆者なりの健康観らしきものを述べさせていただきたいと思う。