抄録
本研究の目的は女性変形性股関節症患者の身体活動量と健康関連QOLの特徴を知り,股関節機能障害,身体活動量,健康関連QOL間の因果モデルを検証することである。対象者は外来通院中の女性変形性股関節症患者29名(50.1 ± 11.3歳)であった。測定項目は股関節機能障害としてHarris hip score,身体活動量として万歩計による1日あたりの平均歩数,健康関連QOLとしてSF-36を用いた。国民標準値と比較し,身体活動量は同年代の女性と同等もしくはそれ以上であったが,SF-36の下位尺度については身体に関する項目の低下が大きかった。Harris hip score,身体活動量,SF-36における身体的サマリースコア間の因果モデルの検証では,Harris hip scoreが身体的サマリースコアに影響する最も重要な因子であり,身体活動量がHarris hip scoreを介して間接的に身体的サマリースコアに影響を与えるモデルが採択された。これは変形性股関節症患者のリハビリテーションにおいて身体活動量を維持させる重要性を示唆したものである。