理学療法学
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地域における運動を通した中高年者の健康づくり事業の現状と課題
山下 弘二佐藤 秀紀佐藤 秀一
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2005 年 32 巻 5 号 p. 344-349

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抄録
健康日本21が出された後,運動を通した中高年者の健康づくり事業の現状と課題を検討するとともに,現場のニーズを把握し,効果的な運動指導事業について明らかにすることを本調査の目的とした。対象は,全国の保健センターから472施設を選び,質問調査票を郵送法により配布し,367施設から回答が得られた。その結果,運動による健康づくり事業は99.7%の施設で重要と考えているが,事業を実施していたのは73.0%であった。一方,実施していない理由は「スタッフがいない」,「具体的な運営・指導法がわからない」が多かった。実際に運動指導を行っているスタッフの資格は健康運動指導士や実践指導者が最も多く,理学療法士(9.7%)は少なかった。メディカルチェックは60.4%の施設で行われていたが,体力測定と効果判定は十分行われていなかった。大学などとの情報交換や共同研究については,96.7%の施設で将来必要である回答していた。これらのことから,地域の保健センターだけで運動プログラムを作成・指導・継続,科学的根拠のある成果をあげていくことは人的資源の点から困難であると考えられる。地域で運動を通した健康づくり事業を効果的に推進するためには,保健センターと地域大学等との連携研究や情報交換が必要であり,その成果を住民に生かしていく必要がある。
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© 2005 公益社団法人 日本理学療法士協会
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