2007 年 34 巻 7 号 p. 294-301
本研究の目的は移乗補助器具を用いた移乗介助動作において介助者の身体的負担軽減に着目し,福祉用具の有無および種類による身体的負担への影響を明らかにすることである。計測条件は補助器具を用いない移乗動作,トランスファーボードを用いた移乗動作,腰ベルトを用いた移乗動作とした。計測には三次元動作分析装置と床反力計を用いて腰部モーメント,体幹・膝関節角度,床反力を測定し,さらに主観的負担度を測定した。その結果トランスファーボードを用いた移乗動作において主観的負担度,腰部後屈モーメント,床反力が他の計測条件より有意に低値を示した。以上のことから被介助者の体重を介助者が持ち上げるか否かが腰部負担に大きく影響しており,トランスファーボードの使用が介助者の身体的負担の軽減につながることが明らかとなった。