2007 年 34 巻 7 号 p. 286-293
脳性麻痺の動作を客観的に評価する指標を得ることを目的に,起立動作を焦点に当て類型化を試みた。対象は,痙直型両麻痺を呈する脳性麻痺51名(平均年齢9歳11ヵ月 : 3歳2ヵ月から17歳4ヵ月)と運動発達に問題のない健常児10名(平均年齢7歳2ヵ月 : 4歳5ヵ月から11歳10ヵ月)とした。分析は,手すりを用いた椅子からの起立動作をデジタルビデオで側方から撮影し行った。具体的には,体幹・四肢の状態に関する15項目の評価項目を作成し,この評価項目に基づいて動作をYES/NOの2項目で記録した。評価結果を基にクラスター分析を実施した結果,健常児のみで1群が形成され,痙直型両麻痺児の中で5群の類型に分類された。今回の分析より,起立動作の特徴から健常児と痙直型両麻痺児を鑑別することが可能であり,同時にこの特徴を基に痙直型両麻痺の起立動作を5群に分類できることが示された。