理学療法学
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研究論文
維持血液透析患者に対する自覚的困難さに注目した移動動作評価表の信頼性と妥当性の検討
小澤 哲也松永 篤彦南里 佑太忽那 俊樹松嶋 真哉小林 主献逸見 房代松沢 良太齊藤 正和増田 卓
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2010 年 37 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

【目的】維持血液透析(HD)患者は循環器疾患や骨関節疾患を合併していることから,通院が自立していても移動動作に困難さを生じている可能性がある。そこで,本研究はHD患者の自覚的困難さに注目した移動動作評価表(HD患者移動動作評価表)を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。【方法】対象は外来通院しているHD患者102例(男性34例,女性68例,年齢65 ± 9歳)とし,臨床的背景因子,運動機能,身体活動量およびHD患者移動動作評価表を調査した。HD患者移動動作評価表は32の移動動作について自覚的困難さに基づいた5段階尺度を用いて調査し,因子分析から因子構造の把握と評価項目を選定した。さらに,因子分析の結果をもとに,HD患者移動動作評価表の信頼性と妥当性を検討した。【結果】因子分析の結果,歩行,階段,基本動作に関する3因子計12項目が選定された。選定された12の評価項目に対するCronbachのα係数と検査 - 再検査間の級内相関係数は0.89以上を示した。さらに,HD患者移動動作評価表の得点と臨床的背景因子,運動機能および身体活動量との間に高い相関が認められた。【結論】HD患者移動動作評価表はHD患者の移動能力の特性を反映し,信頼性,妥当性のある評価表であることが示唆された。

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© 2010 公益社団法人 日本理学療法士協会
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