2011 年 38 巻 5 号 p. 351-357
【目的】脳血管障害患者の足関節底屈筋の筋緊張と最大筋伸張度の関連性を明らかにする。【方法】対象は脳血管障害患者71人の麻痺側足関節底屈筋とした。筋緊張の各構成要素を反映するAnkle Plantar Flexors Tone ScaleのStretch reflex(以下,SR),Middle range resistance(以下,MR),Final range resistance(以下,FR)と最大筋伸張度を反映するModified Tardieu ScaleのR2を膝伸展位と膝屈曲位で測定した。SR,MR,FRとR2の関連性をスピアマンの順位相関係数(以下,rs)を用いて検討した。【結果】SRとR2の間に相関を認めなかった。膝伸展位のFRとR2(rs = -0.33)および膝屈曲位のMRとR2(rs = -0.24)の間に弱い負の相関を認め,膝屈曲位のFRとR2の間に中等度の負の相関(rs = -0.49)を認めた。【結論】伸張反射と最大筋伸張度には関連性を認めず,他動的伸張に対する抵抗と最大筋伸張度の間に関連性があると示唆された。また筋緊張と最大筋伸張度の関連性は,2関節筋よりも単関節筋でより強いと示唆された。