2011 年 38 巻 5 号 p. 358-363
【目的】自宅退院を控えた入院高齢患者の転倒恐怖感の発生頻度および関連する因子を検討した。【方法】対象者は,自宅への退院が予定されていた入院高齢患者66名とした。転倒恐怖感の測定にはModified Falls Efficacy Scale(MFES)を使用し,MFESの得点が139点以下を転倒恐怖感有とした。また関連する因子として歩行能力,転倒経験の有無,認知機能,ADL,抑うつ傾向,年齢,性別について検討した。【結果】対象者の97%に転倒恐怖感がみられた。また転倒恐怖感に関連する因子を重回帰分析を用い検討した結果,歩行能力,ADL,抑うつ傾向が抽出された。【結論】結果より,自宅退院を控えた入院高齢患者にとって転倒恐怖感は一般的な心理問題であることが示された。またその転倒恐怖感には歩行能力やADL能力,抑うつ傾向が関連していることがわかった。