2011 年 38 巻 5 号 p. 364-373
【目的】入院脳卒中者に対する理学療法介入内容の現状を分析し,脳卒中者の属性との関連性を検討すること。【方法】9つの医療機関に勤務する理学療法士77名を対象に,入院脳卒中者160名に対して実施した理学療法について,その介入内容(活動と介入方法)を調査した。脳卒中者の属性として年齢,性別,麻痺側,罹患日数,入院している病棟属性,Modified Rankin Scale(MRS),歩行能力を調査した。全体の介入内容の回数や時間を集計し,さらに脳卒中者の属性との関連性を検討した。【結果】活動は準備的活動,ベッド上動作,座位,立ち上がり/着座,歩行で多く,移乗,車椅子移動,応用歩行,屋外移動は少なかった。介入方法は運動学習,姿勢調節,バランストレーニングが多かった。MRSや歩行能力は一部の活動の実施回数や時間と関連性を認めたが,介入方法との関連性は乏しかった。【結語】入院脳卒中の理学療法で実施されている活動と介入方法の現状を提示した。また,実施される活動は脳卒中者の属性とある程度関連するが,介入方法とは関連性が低いことが示唆された。