2012 年 39 巻 2 号 p. 59-66
【目的】本研究では,運動学的視点から,車いすテニス選手のサーブ動作の特徴をあきらかにすることを目的とした。【方法】三次元動作解析装置と表面筋電図を用いて,車いすテニス選手8名による通常のサーブ動作を計測し,一般テニス選手のサーブ動作と比較した。【結果】車いすテニス選手と一般テニス選手のサーブ動作を比較すると,車いすテニス選手では,最大外旋位で肩関節外旋角度が有意に低値を示し,インパクト時では,水平内転角度が有意に高値を示し,外転角度が有意に低値を示した。最大外旋位からインパクトまでのフォワードスイング相における水平内転・内転運動が特徴的であった。【結論】車いすテニスのサーブでは,もっとも肩関節への負荷が大きいとされるフォワードスイング相において,肩関節が固定されず,水平内転・内転運動しており,肩甲骨と上腕骨を安定させた状態での上腕骨の回旋を困難にしている。これより車いすテニスのサーブ動作は肩関節障害の発生リスクを高めることが示唆された。