理学療法学
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39 巻, 2 号
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研究論文
  • 木村 大輔, 岩田 晃, 川﨑 純, 島 雅人, 奥田 邦晴
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,運動学的視点から,車いすテニス選手のサーブ動作の特徴をあきらかにすることを目的とした。【方法】三次元動作解析装置と表面筋電図を用いて,車いすテニス選手8名による通常のサーブ動作を計測し,一般テニス選手のサーブ動作と比較した。【結果】車いすテニス選手と一般テニス選手のサーブ動作を比較すると,車いすテニス選手では,最大外旋位で肩関節外旋角度が有意に低値を示し,インパクト時では,水平内転角度が有意に高値を示し,外転角度が有意に低値を示した。最大外旋位からインパクトまでのフォワードスイング相における水平内転・内転運動が特徴的であった。【結論】車いすテニスのサーブでは,もっとも肩関節への負荷が大きいとされるフォワードスイング相において,肩関節が固定されず,水平内転・内転運動しており,肩甲骨と上腕骨を安定させた状態での上腕骨の回旋を困難にしている。これより車いすテニスのサーブ動作は肩関節障害の発生リスクを高めることが示唆された。
  • 宮本 俊朗, 玉木 彰, 森谷 敏夫
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】上肢エルゴメーター運動時における運動―呼吸リズム同調:Locomotor Respiratory Coupling(以下,LRC)の発生状況をあきらかにするとともに,意図的なLRCの誘発が,LRC発生率や呼吸・換気応答に及ぼす影響を検討することとした。【方法】健常者10名に対し,上肢エルゴメーターによる漸増運動負荷試験を行った後,呼吸無意識下および呼吸・運動リズム比(fr/fc)を1/1,2/3,1/2,2/5,1/3としたLRC誘発条件下において,定負荷運動を実施し,LRC発生状況や換気応答を分析した。【結果】呼吸無意識下におけるLRCは,様々なパターンのfr/fcを示したが,2/5の出現率が高値を示した。LRCの誘発条件下では,LRC発生率の上昇は認めなかったが,2/5,1/3において死腔換気率は低値を示した。【結論】上肢エルゴメーター運動において,LRC発生パターンは下肢運動と類似するが,LRCの誘発効果は低く,また,fr/fcの設定が,LRC発生率に独立して換気効率に影響する可能性が示唆された。
  • ―自宅内自立歩行可能な在宅脳卒中患者を対象として―
    川上 健司, 和田 陽介, 田村 恵美, 伊藤 美致世, 田中 和加奈, 寺西 利生, 奥山 夕子, 近藤 和泉, 園田 茂
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中患者の退院直前の各種医療情報を多変量解析することで転倒予測に関わる要因を検討することを目的とした。【方法】対象は,当院を退院した脳卒中患者64名である。退院時の年齢,性別などのプロフィールの他,Functional Independence Measure,Stroke Impairment Assessment Set,最大歩行速度,下肢装具,杖,転倒に関わる薬剤の使用,Mini-Mental State Examination,入院中の転倒などを測定・調査し,変数増加法(尤度比)ロジスティック回帰分析から転倒予測要因を抽出した。【結果】退院6ヵ月後の転倒率は39.1%であった。転倒が予測されたのは最大歩行速度が時速2.5km以下の患者と,下肢装具を使用している患者であった。【結論】脳卒中患者の歩行速度には運動麻痺が大きく影響し,下肢装具は運動機能の補助として使用されることを考慮すると,下肢運動麻痺と深く関連する因子が転倒予測因子として抽出されたと考えられた。
  • 野嶌 一平, 美馬 達哉, 川又 敏男
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 82-89
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】ミラーセラピー(Mirror Therapy:以下,MT)による運動機能,脳機能の変化を検討するとともに,経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて大脳皮質に直接的介入を行い,MTによる運動学習時の一次運動野(M1)の役割をあきらかにすることを目的とする。【方法】対象は,健常成人12名とし,全例右利きであった。運動課題は30秒間の左手でのボール回し課題とし,脳機能はTMSにより導出された運動誘発電位振幅を指標とした。MTは,左手に重ねられた鏡に映る右手運動の視覚フィードバックを伴った右手での運動介入を行った。その後,大脳皮質の活動性を抑制するcontinuous theta burst stimulation(以下,cTBS)をM1と視覚野(Occipital:以下,OC)に各々2群に分けて実施した。その後,再度MTを実施した。運動機能と脳機能の評価は,各介入後に実施した。【結果】MTにより運動機能と脳機能の有意な向上が見られた。そしてcTBS実施により,M1群でのみ運動機能,脳機能ともに一次的に低下が見られ,再度MTを実施することで運動機能と脳機能の向上が見られた。【結論】MTによる運動機能の向上にはM1の活動性向上が必要である可能性が示唆された。
  • 宮本 祥子, 五百蔵 高浩, 宮本 謙三, 宅間 豊, 井上 佳和, 竹林 秀晃, 岡部 孝生, 滝本 幸治
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 90-101
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】この研究は本誌掲載論文「理学療法分野における英語専門語彙(ESP語彙)の抽出とその特性」の発展編である。研究の目的は,理学療法分野の英語コーパスの特性をcollocation(共起語:語と語の結びつき)の観点から分析することである。【方法】分析には前稿の研究で構築した2種類のコーパスを使用した(RAコーパス:397,874語・PT教科書コーパス:546,666語)。分析項目は,副詞+動詞,動詞+名詞,形容詞+名詞のペアとし,それぞれのコーパスで3回以上出現するペアを抽出した。そして抽出されたペアについて,単語どうしの結びつきの強さの指標であるMIスコア(Mutual Information score)を算出し,優先的に結びつく共起パターンが存在するかを調査した。【結果】どの項目でも,2種類のコーパスに共通して優先的に結びつく共起パターンが認められた。【結論】共起語の知識は読解力向上のために必要不可欠である。今回抽出された共起パターンの学習は,理学療法分野のテクストの理解を早める有効な方略になり得ると考える。
  • ―関節角度と牽引強度の違いが及ぼす影響について―
    小川 大輔, 竹井 仁, 松村 将司, 市川 和奈, 宇佐 英幸, 畠 昌史, 安彦 鉄平, 新津 守
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は膝関節の牽引に伴う脛骨と大腿骨間の距離変化(離開距離)を解析することで,関節角度と牽引強度の違いが及ぼす影響を検討し,特に最大ゆるみの肢位に関する示唆を得ることを目的とした。【方法】対象は健常者18名(男女各9名,平均25.1歳)とした。方法は,関節角度7水準(完全伸展位・25・35・45・55・70・90°)と牽引強度2水準(100・200N)を組み合わせた条件で右下腿を長軸方向へ牽引し,その際の膝関節裂隙の超音波画像から離開距離を解析した。【結果】100Nでは55°屈曲位の離開距離が完全伸展位より有意に大きかった。200Nでは25・35・45・55°の離開距離が完全伸展位より有意に大きく,45・55°の離開距離が90°より有意に大きかった。200N牽引時の関節角度と離開距離の関係を示す回帰式から推定した最大離開距離となる肢位は51°屈曲位だった。【結論】100Nより200Nで牽引した際の離開距離が大きくなることと,正常膝関節の最大ゆるみの肢位は約51°屈曲位であることが示唆された。
平成22年度研究助成報告書
  • ―高齢者の転倒予防を目的として―
    中野 英樹, 野崎 誠, 大村 豊, 大住 倫弘, 川見 清豪, 森岡 周
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 110-111
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,高齢者の足底知覚能力と歩行安定性との関連性について検討することである。【方法】対象は,通所リハビリテーションを利用しており,歩行補助具なしで独歩可能な高齢者30名とした。対象者には,硬度の異なる5段階のスポンジを足底で弁別する知覚課題を実施し,この時の正答数を足底知覚能力の指標とした。また,無線型三軸加速度計を用いて自由歩行条件下の体幹加速度を測定し,歩行安定性を表わすRoot Mean Square(RMS)を算出した。【結果】足底知覚課題の正答数とRMS側方成分との間に中等度の負の相関を認め(r = -0.51,p < 0.01),RMS垂直成分との間に中等度の負の相関を認め(r = -0.57,p < 0.01),RMS前後成分との間に中等度の負の相間を認めた(r = -0.55,p < 0.01)。【結論】通所リハビリテーションを利用している高齢者の歩行安定性には,足底知覚能力が関与することが示唆された。
  • 相澤 純也, 神野 哲也, 古賀 大介, 小山 貴之, 中丸 宏二, 美崎 定也, 磯崎 弘司, 森田 定雄
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 112-113
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究目的は変形性股関節症(股関節症)患者の疼痛関連因子をあきらかにすることとした。初回人工股関節全置換術(THA)を待機している股関節症患者32名の64下肢を対象とした。股関節可動域を角度計で計測した。最小関節裂隙幅(MJSW)を骨盤の単純X線前後像から計測した。主観的股関節痛と主観的stiffnessをWestern Ontario and Mcmaster Universities Osteoarthritis Indexのサブスケールで数値化した。従属変数を主観的股関節痛とし,年齢,BMI,股関節可動域,MJSW,主観的stiffness,反対側主観的疼痛を独立変数とした重回帰分析を行った。MJSWと自覚的stiffnessが主観的股関節痛にもっとも関連があった。初回THAを待機している股関節症患者において,最小関節裂隙幅と自覚的stiffnessは股関節痛の重要な関連因子であることが示唆された。
  • 明﨑 禎輝, 野村 卓生, 中尾 聡志, 室伏 祐介, 佐藤 厚
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 114-115
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,維持期の統合失調症患者を対象として,身体機能を測定し,向精神薬投与量と身体機能の観点を検討した。対象は,精神病院に入院する維持期の統合失調症患者15名である。調査項目は,向精神薬投与量,上肢機能,下肢筋力,バランス能力(片脚立位時間,重心動揺検査)とした。結果,対象者と同年代の健常人の身体機能との比較において,上肢機能は12例が低下,下肢筋力は全例が低下,片脚立位時間は9例が低下を示した。向精神薬投与量と上肢機能,下肢筋力,片脚立位時間,総軌跡長,外周面積間においては,有意な相関関係を認めなかった。これらのことから,日常生活動作が自立している精神疾患患者においても,身体機能の低下が生じていることがあきらかとなった。また維持期の日常生活動作が自立した統合失調症患者は,向精神薬投与量が上肢機能,下肢筋力,バランス能力の低下に対して影響を及ぼす可能性が低いと考えられた。
  • 解良 武士, 渡部 由紀, 猪股 高志
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 116-117
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    理学療法士や健康運動指導士のメディカルフィットネス分野における活用や,理学療法士の雇用の可能性を探索するための基礎資料をつくるために調査を行った。調査対象として選定した206ヵ所のメディカルフィットネスのうち59ヵ所より回答を得た。内容は,施設の概要,利用者,運動指導,医療機関との連携,他の関連事業,理学療法士および健康運動指導士の必要度,今後について,とした。これまでの調査と同様にメディカルフィットネスで雇用されている理学療法士はごくわずかであった。理学療法士のメディカルフィットネス部門への参画に関して否定的な意見は多くなかった。理学療法士に求める能力としては,軽い疾病あるいは障害を有している対象者への運動指導能力がもっとも多かった。利用者の多くは中枢神経や整形外科的な問題を有している場合が少なくなく,当分野における理学療法士の必要性は低くないと考えられる。
  • 徳田 一貫, 羽田 清貴, 合津 卓朗, 田中 泰山, 吉田 研吾, 阿南 雅也, 木藤 伸宏, 菅川 祥枝, 新小田 幸一
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 118-119
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,角速度計とハイスピードカメラを用いて歩行立脚時の大腿,下腿の回旋運動と身体各関節角度の測定を行い,変形性膝関節症患者の歩行のバイオメカニクス特性をあきらかにすることを目的として行った。その結果,変形性膝関節症患者の歩行は,荷重応答期から立脚中期の下腿外旋運動が有意に小さかった。また,立脚期における肩峰傾斜,下腿傾斜,膝関節内反角度が有意に大きかった。
  • 森本 信三, 中本 舞, 廣田 倫子, 幸 亜沙美, 朝間 知樹, 土井 健司, 宮尾 康平, 中本 佳代子, 岩切 健太郎, 飯田 高広, ...
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 120-121
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,変形性膝関節症(以下,OA)患者の身体組成・血液所見・身体機能・運動継続および運動に対する自己効力感について手術前後の変化および肥満・非肥満群で比較することにより,肥満症の有無が人工膝関節全置換術(以下,TKA)患者の運動に対する自己効力感に与える影響を検討することを目的とした。対象は,当院でTKAを施行し,術後在院日数が4週間以上であった入院患者29名とした。評価項目は身体組成,血液所見,血圧値,身体機能,疼痛検査,運動習慣,運動に対する自己効力感,身体活動量とした。結果として,各群における術前後の比較において,両群で血液所見の改善と非肥満群でのみ身体活動量と運動に対する自己効力感にも有意に改善が認められた。これらの結果から,理学療法士が運動器障害をもつ患者に対して入院中に身体活動量とSEEを向上させることができ,退院後の運動習慣へつなげることができる可能性を示唆した。
  • ―CTを用いて―
    勝木 員子, 相澤 純也, 磯崎 弘司, 神野 哲也, 森田 定雄
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 122-123
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】THA前後の中殿筋および大殿筋の筋断面積の回復とJOA Hip Scoreの関連について明らかにすること。【方法】初回片側THAを施行した女性患者9名を対象とし,非術側臼蓋上縁レベルで術前後の中殿筋および大殿筋の筋断面積を測定した。股関節の機能評価にはJOA Hip Scoreを用いた。術前後の筋断面積,JOA Hip Score得点の変化および筋断面積とJOA Hip Scoreとの関連を検討した。【結果】THA前後の比較では非術側中殿筋および両側大殿筋の筋断面積,JOA Hip Scoreの「歩行能力」,「立ち仕事」,「しゃがみこみ・立ち上がり」,「日常生活動作合計」の得点に有意差な改善が認められた。筋断面積とJOA Hip Scoreとの比較では,術前の中殿筋の断面積と「外転可動域」,術後の中殿筋の筋断面積と「外転可動域」に正の相関がみられた。【結論】中殿筋と大殿筋の禁断面積を比較すると,術後3〜6ヵ月の時点では中殿筋の筋断面積の回復が遅延すること,術後の中殿筋の筋断面積と股関節外転可動域に相関関係があることが示唆された。
  • 斉藤 琴子, 菅原 憲一, 村岡 慶裕
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 124-125
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】健常者を対象に,様々なテンポに同調した歩行を施行し,リズム形成および筋活動量の変化から歩行運動制御について検討した。【対象者および方法】対象は,健常成人10名とした。30,60,90,110,130,150,190(beats/min)の7種類のテンポの音に同調した歩行を施行し,前脛骨筋と腓腹筋の活動を表面筋電図にて記録した。その際に10m歩行速度の測定を行った。解析は1歩行周期を100%とし,立脚期と遊脚期から相対的な時間比および筋活動量比を求めた。【結果】テンポの増減は時間比,腓腹筋筋活動量比との間に有意な関係を認めた。時間比に関しては,極めて遅いテンポである30(beats/min)と速いテンポである190(beats/min)との間に有意差を認めた。前脛骨筋と腓腹筋の筋活動量比に関して,テンポ間の有意差は認めなかった。【結語】歩行運動という同一の運動においても,異なる相対タイミングおよびGMPの存在が考えられる。
  • ―F波を用いた研究―
    鈴木 俊明, 米田 浩久, 谷埜 予士次, 高崎 恭輔, 谷 万喜子, 鬼形 周恵子, 吉田 隆紀, 文野 住文, 浦上 さゆり, 若山 育 ...
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 126-127
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,パーキンソン病患者への運動イメージ効果を脊髄神経機能の興奮性の指標であるF波を用いて検討することである。
    Hoehn and Yahrの重症度分類II 4名,III 3名,IV 3名であるパーキンソン病患者10名(男性2名,女性8名),平均年齢63.9 ± 11.0歳の非利き手(左側)を対象として,以下の検査を実施した。被験者を背臥位とし,非利き手(左側)正中神経刺激のF波を非利き手(左側)母指球筋より導出した(安静試行)。ピンチメータのセンサーを軽く把持した状態(センサー把持試行)で,非利き手(左側)正中神経刺激によるF波を非利き手(左側)の母指球筋より導出した。次に,ピンチメータを用いて,左側母指と示指による対立運動の最大努力の50%のピンチ力で対立運動を練習させた。その後,センサーは軽く把持したまま50%収縮をイメージさせた状態(センサー把持運動イメージ試行)とセンサーを把持しないで運動イメージを実施した状態(センサー把持なし運動イメージ試行)で,非利き手(左側)の母指球筋より同様にF波を測定した。
    F波出現頻度,振幅F/M比は,安静試行と比較してセンサー把持試行,センサー把持運動イメージ試行,センサー把持なし運動イメージ試行で増加傾向であり,安静試行とセンサー把持運動イメージ試行の2群間では有意に増加した。立ち上がり潜時は各試行での差異は認めなかった。
    健常者での先行研究と同様に,パーキンソン病患者への等尺性収縮による対立運動を用いた運動イメージは同側の脊髄神経機能の興奮性を増加させるが,運動イメージの方法は実際の運動に近い方法で実施することが大切であることが示唆された。
  • 牧浦 大祐, 井上 順一朗, 小野 玲, 三浦 靖史, 平田 総一郎
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 2 号 p. 128-129
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    食道切除再建術前後での身体機能変化を検討した。対象は,食道癌に対して食道切除再建術を施行し,周術期リハビリテーションを実施した患者34名とした。身体機能は握力,最大等尺性膝伸展筋力,6分間歩行距離を術前と退院時の2回測定した。その結果,身体機能は術前に比べ,退院時に有意に低下しており,術前値の85.6〜89.2%であった。今後は長期的な経過についてさらに詳細な検討が必要である。
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