理学療法学
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研究論文(原著)
変形性股関節症に罹患して人工股関節置換術を受けた患者の身体機能や活動に術前および術後の運動介入が及ぼす影響
-ランダム化比較試験に対するシステマティックレビューおよびメタアナリシス-
梅原 拓也田中 亮金口 瑛典
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2014 年 41 巻 3 号 p. 147-158

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抄録
【目的】本研究の目的は,変形性股関節症(股OA)に罹患して人工股関節置換術(THA)を受けた患者に対する術前および術後の運動介入が,身体機能および活動に及ぼす影響をあきらかにすることであった。【方法】本研究のデザインは,システマティックレビューおよびメタアナリシスであった。4つの電子データベースを使用して運動介入が身体機能および活動に及ぼす影響を調べたランダム化比較試験(以下,RCT)を収集した。身体機能および活動に及ぼす運動の効果について,実験群とコントロール群の差のデータを統合した。結果のエビデンスレベルはGRADEシステムを用いて判定した。【結果】13編のRCT論文が抽出された。術前の運動介入により効果が認められたアウトカムは,Harris Hip score(以下,HHS),歩行・階段昇降・トイレ移乗・椅子移乗開始日であった。術後の運動介入,特に特定の運動介入の追加により効果が認められたアウトカムは,股関節外転の筋力,最大酸素摂取量,および歩行率であった。効果が認められたアウトカムのエビデンスレベルは,HHSが「高」,歩行開始日が「低」,その他が「中」であった。【結論】術前の運動介入および術後の通常のリハビリテーションプログラムに追加された運動介入によって,身体機能および活動は改善するというエビデンスが示された。
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© 2014 公益社団法人 日本理学療法士協会
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