理学療法学
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実践報告
回復期脳卒中および大腿骨頸部骨折患者のいわゆる「できるADL」と「しているADL」
-FIM運動項目の得点差の特徴-
岩井 信彦山下 和樹長尾 賢治山本 順也西角 暢修大川 あや
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2015 年 42 巻 1 号 p. 58-64

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抄録

【目的】本研究の目的は生活の場で遂行されるADL(以下,実行ADL)と特定の環境で可能なADL(以下,潜在的ADL)の差についてその特徴を明らかにすることである。【方法】脳卒中患者391例および大腿骨頸部骨折患者229例の実行ADLと潜在的ADLをFIMで評価し,運動13項目の実行ADLと潜在的ADLの得点差,得点に差のあった症例の割合(以下,不一致割合),不一致割合とADL難度の関係,不一致割合の入院時と退院時の変化,得点差の平均値,得点差の起こる採点を調べた。【結果】両疾患群とも運動項目すべてで実行ADL得点が低かった。不一致割合は入院時,退院時ともに先行研究とは異なった結果であった。ADL難度と不一致割合の相関関係は両疾患群とも見出し得なかった。得点差は項目によっては平均2ないしは3点台のものもあり,得点差の起こる採点は2〜4点が多かった。【結語】実行ADLと潜在的ADLの差の特徴を明らかにすることで,ADL能力をより的確に把握することが可能になると思われた。

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© 2015 公益社団法人 日本理学療法士協会
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