2018 年 45 巻 3 号 p. 190-196
【目的】恒久的ペースメーカー留置後に不適切な心拍応答が生じた肥大型心筋症を基礎疾患にもつ症例を担当し,心肺運動負荷試験を行うことで適切な運動処方での有酸素運動を提供することができたので報告する。【症例と経過】70 歳男性,労作時に著明な息切れを生じていた。第3 病日より有酸素運動とレジスタンストレーニングを中心に訓練を進めた。【結果】第30 病日,自転車エルゴメータを使用した心肺運動負荷試験にて,変時不全の影響で突然死リスクが高い状態であることが示唆された。そこで,恒久的ペースメーカーの加速度センサーを鋭敏に変更した。翌日の心肺運動負荷試験にて,心拍応答の改善,突然死リスクの減少,適切な運動処方での有酸素運動が可能となった。【結語】自転車エルゴメータを使用した心肺運動負荷試験においても,恒久的ペースメーカーの調整を行うことで,適切な運動処方が行える可能性が示唆された。