経頭蓋磁気刺激(以下,TMS)に関して,Baker らの報告以来,これまでに多くの研究が報告されてきた。 非観血的な方法であることから理学療法に関連する学術大会や学術誌においてこの方法を用いた研究が報告される例は多く,患者を対象とする臨床研究も散見されるようになってきた。このような状況を鑑み,当該刺激方法に関する安全性を検討する委員会を有する国内学会や,国際的な指針からの情報を簡潔にまとめ,理学療法領域の研究に従事する方々に情報共有することが肝要との判断から,声明を発出するに至った。TMS を用いた研究にかかわる場合には,必要な知識の習得と十分なトレーニングが重要であり,今後,大学院カリキュラムのレベル,あるいは卒後教育のレベルで,トレーニングの標準化を検討するべきであろう。現時点では個々人の技術と知識の習熟状況,および実施環境などから慎重に行われつつ,さらに知見が蓄積されていくことを望む。